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2009年のCHATEAU DE PIZAYのボージョレ・ヌーヴォーは まさに神様が下さったよう!
2009年9月15日 火曜日 曇り

 どんよりとした朝。
ベランダの朝顔も急に元気がなくなったみたい、、、。
でも私は欣喜雀躍!
パスカルからメールが入ったのだ。
Bonjour KEIKO,
Les vendanges sont terminées et nous avons un très très beau millésime dans nos caves…
Ci-joint le petit mot sur le fabuleux 2009…
Amitiés.
Pascal

 今年のシャトー・ドゥ・ピゼイのボージョレヌーヴォーは、神の業のようにすばらしいということだ。
petit motどころか、A4いっぱいに書かれた今年のシャトー・ドゥ・ピゼイのボージョレヌーヴォーの最初の試飲感。

毎年、葡萄の収穫が終わって、発酵が始まり落ち着き始め二〜三週間すると、その年の出来具合のメールがはいる。
メールの前の時代にはファックスだった。
私は、ワインを待つのと同じように、彼のこの連絡を毎年、愛しい人からの恋文を待つように心待ちする。

 今年は天候に恵まれて葡萄の出来は最高で、八月の下旬から収穫が始まっていた。
マセラシオン・ボージョレーズが始まって今頃はしずかに自然発酵が行われている頃なのだろう。

 パスカルデュフェートル(Pascal Dufaitre, Chateau de Pizay)は、名醸造師として知られている。
(そして隣村の村長さんでもあるのだ)

十四世紀に建てられた瀟酒なシャトー・ドゥ・ピゼーは、ボージョレ地方のなだらかな丘陵地帯の
モルゴンに醸造所がある。
ボージョレ地方の10のクリュの内で最高の南東向きの立地と最良の土壌に恵まれたモルゴン地区。
樹齢45~60年のガメイ種の葡萄が有機栽培されている110エーカーの葡萄畑で熟成された葡萄から造られるワインは、
しっかりしたタンニンの味わい豊かなモルゴンと、フレッシュでフルーティーなボージョレ、
稀少なボージョレ・ブラン(白)で、この地方で最も高い評価を得ている。
その年の新酒のボージョレヌーヴォーは、ボージョレ地方全体の0.5パーセントほどの少量。それも珠玉の新酒。
日本へはその限定の5パーセントだけが空輸されてきて28年がたつ。
解禁日は、昔は11月21日だったが、十数年前からは第三木曜日となった。

http://keico.exblog.jp/7679385/
ボージョレヌーヴォー解禁 2008年11月20日 木曜日

http://keico.exblog.jp/8902340
シャトウ・ドゥ・ピゼイのボージョレ・ヌーヴォー 2009年9月1日

http://keico.exblog.jp/8914814
シャトー・ドゥ・ピゼイまでグーグルアースプラスでひとっ飛び 2009年9月3日

 天候に恵まれて葡萄が出来がよく、発酵具合を見れば、醸造家はワインの出来をわかるのだろう。
何十年もの経験と感性とプロのなせる業!
発酵が落ち着いて、葡萄のジューが静かに眠り始めた頃に、パスカル叔父さんは詩人になる。
いや今年は宗教家か哲学者のようだ。

美しい旋律で書かれた新葡萄酒の予測は、時には静かに、時には高らかに、その年の試飲の感想を書く。
フランスの詩の音律はよくわからないが、英語に韻がふまれているように、
それ以上に行間に微妙な味わいがあるに違いない。
私の手にはおえないことなので、フランス語の大家にまず直訳をお願いする。
それを待っている間に、私ももちろん辞書を片手に格闘する。
フランス語は語尾の変化で接続法になったり条件法とかでニュアンスが変わってくるし、過去形もいくつもある。
その上に、パスカルが書くフランス語の微妙な音律と深い意味を読み解くのはなかなか大変、、、
宇宙の動きと自然の営み、その年の太陽や風のささやきetc,それらを聞きながら、
毎日を葡萄と優しく語り合っているパスカル。
春になって白い小さな花をつけた時の歓び、実を充実されるための間引き、ベト病にならないようにとの
特別ははからいとテクニック、そうして一年かかってやっと理想の粒に成長した葡萄を手摘みで収穫するときの
神への感謝、、、、そのもろもろの全てを考えながら、私自身も神に感謝しながら日本語に訳していく。

どうしてもワカラナイ単語やいいまわしがあると、まずそれを英語で何というか聞いてから日本語にする。
それでもわからなかったことが28年の間には何度かあったが、それはどうやらフランスにあって
日本にはない果実だったり、専門的な醸造用語だったりした。
たとえば*パラダイス*もその一つ。
天国、と簡単に訳してしまってもつじつまがあったのだが、どうも他に深い意味があるような気がした。
ピンポン! やはり特別な意味だったのだ。>>>moreに。

それが今年は、さらにむずかしいのだ。Paradisは三回あり、それぞれに意味が異なる。
パスカルは言葉の遊びをしているようなのだ。
きっと素晴らしい発酵過程によっているに違いない。

単語の意味はわかってもその裏にはキリスト教の宗教観が横たわり、色の表現にいたっては例年のように
果実の名前だけでなく今年は神父様の服の色まででてきている。
(フランスの文学にも詩にも造形の深い、パリの風、のピアニスト、桜さんに訪ねたくなる。
落合桜さんのパリの風

Château de PIZAY 2009, UN PETIT GOUT DE PARADIS………から始まる、
もうここから単に訳してはなんにもならない。
PARADISの意味が何層にもなっている。
次のAux angesってなんと訳せば適訳なのだろう。

Genèse du paradis retrouvé.、、、、genèse 起源?

PARADISは、すでに三度も出てくるが、それぞれ深く意味が違う、、、、
l’oiseau de paradis だって、ただの極楽鳥でないかもしれない。
ロワゾー・ドゥ・パラディという グラジョーラスに似たオレンジのアフリカの花があるからこちらだろうか?

Eve en eu fait l’offrande、、、どうしてここで原罪がでてくるの?
『創世記』のアダムとイヴをもう一度勉強しなくてはわからないかもしれない、、、、。

Robe de cérémonie, invitation au péché originel.
ここで完全にまいった。
《Robe de cérémonie》は礼服・式服のこと、イヴが裸体になる前に身に着けていた衣服の色は何だったの?
文章は新酒の色・香り・味についてのコメントのはずで、このフレーズはワインの色調についての一節なのだろうが、
キリスト教、または西欧人が『原罪』について語る禁断の木の実がどんな色なの〜〜〜?
les vergers de l’olympe 大罪
そして、二重否定がある、、、嗚呼!

 divinという単語も三回ある。
それも女性形と男性形の形容詞と名詞。
辞書を引く。
〔形〕【1】神の,神による,神性の。【2】神に捧げる,神聖な,神を讃える。【3】神から与えられた,天与の,神授の。
【4】神の列に加えられた。【5】神のような,神々しい,崇高な。【6】すばらしい,見事な,至高の。

この単語は、昔むかしパリのランブロワジーでの食事の時に、そのあまりの美味しさに言葉を失っていたら、
ピエール叔父さんが、マダム〜〜〜Divine! という言葉をご存じですか、って教えてくれて、
その夜宿に帰って辞書を引いて覚えたことがあったから知っていた。

〜〜〜
Mystérieuse Transcendance 、、、、大文字と小文字でも違う意味?もありそうで、
Subtile alchimie 錬金術、、、、、pontife 高位聖職者

、、、、d’éternitéにいたっては、宗教家でダンビンチコードノの作者のダンブラウンに聞いてみたくなった。
>>>>more

 そして、パスカルの最後の三行は、
Echantillon d’éternité,
Fruit du terroir et du travail des hommes,
Promesse d’extases en novembre…
男の仕事? いや複数だから、、、
extase?

 訳すと;
 2009年のシャトー・ドゥ・ピゼイのボージョレヌーヴォーは、永久保存したくなる葡萄酒の見本です。
神のご加護を受けて、土壌と人間の労力とが造りだした芸術品です。
11月には恍惚の味をお約束いたします。
〜〜〜と、結論は、今年のボージョレヌーヴォーは希有なすばらしだと言うことだ!

最後の三行を先に訳して、、、、あとはもがき苦しみながら訳していくことにしよう、、、
そのあとの歓びはいかばかりか!

ああ、今夜は寝られそうにない、、、、

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2006年の香港で行われたVINEXPO(ワインの見本市)でのパスカル・デュフェートル
2009年のCHATEAU DE PIZAYのボージョレ・ヌーヴォーは まさに神様が下さったよう!_a0031363_2224294.jpg

http://keico.exblog.jp/3664555/
国超えて ワインが取り持つ 縁丸く 2006.05.23 火曜日 曇りと雨

〜〜〜






ボージョレ地方では
*パラダイス*とは、ボージョレを造る課程に伝統的なスタイルの、完全手作業のマセラシオン・ボージョレーという
醸造方で生まれた優しく果実味豊かな圧縮された葡萄汁をいう。

(大手のワインメーカーのことやボージョレー版農協みたいなところで行われているのは、
人為的に炭酸ガスを密閉タンクの中に充満させる方法で「マセラシオン・カルボニック」という炭酸ガス充填法、
それに対してマセラシオン・ボージョレーというのはぶどうの発酵に伴い生ずる炭酸ガスのみを使う方法で、
伝統的な純粋な方法)

味が違うことはいうまでもない。

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http://keico.exblog.jp/821688
ダ・ヴィンチの 面白さに朝の 蝉を聴く、2004.08.07

http://keico.exblog.jp/936933
夏の夜を 徹夜本との 独り寝よ
2004.08.28


http://keico.exblog.jp/3461792
断りて 春眠むさぼる 日曜日

http://keico.exblog.jp/3210620
ダ・ヴィンチ・コード
2006.02.19

おやおや、ダ・ヴィンチ・コードの読後感は詳しく書いてなかったのかしら?
〜〜〜〜〜〜
by pretty-bacchus | 2009-09-15 23:59 | ♥Wine & Dineワイン&食事 | Trackback(1) | Comments(6)
Tracked from Http://Www.Y.. at 2014-11-13 12:44
タイトル : Http://Www.Youtube.Com/Watch..
2009年のCHATEAU DE PIZAYのボージョレ・ヌーヴォーは まさに神様が下さったよう! : 生きる歓び Plaisir de Vivre。人生はつらし、されど愉しく美しく... more
Commented by S at 2009-09-16 12:29 x
敬子様こんにちは。拙いブログをリンクしていただきまして恐縮しています。横好きなだけで何もお勉強していないので お恥ずかしいです。
暗示的な文章で葡萄酒予測をなさるなんて素敵なおじさまですネ! 色ひとつも国によって前提にされるイメージが違って、知ってゆくのは心躍ることですね。
Commented by 札幌生活管理人NAO at 2009-09-16 15:45 x
片桐さま、ブログにコメントありがとうございます。
>11月には恍惚の味をお約束いたします。
大変期待しております!恍惚の人にはならないようにしなければ。
Commented by 婆美以 at 2009-09-16 23:38 x
ピゼィ ボジョレのニュースメール有難うございました。あまりに素晴らしい年のワインとのことですので、友人数人にお味見用にプレゼントの約束をしたのをチョッピリ後悔~、、いえ、いえ喜びは分かち合えてこそ、ですもの、やはり勝手な広報係をさせて頂きますね~!

↓ 当日思いがけずロビーでお姿をお見かけしたのですが、大勢ご一緒でいらして大変お忙しそうでいらしたので、先にプログラムを求めておりましたらお姿を見失ってしまいましてご挨拶もできず失礼致しました。
こちらのお姿から3年も経てらっしゃるとは…とても思えないほど若々しくチャーミングでいらっしゃって、もう吃驚致しました。

↓ 画素の少ない画像…その分感性がたっぷり含まれて、こちらの想像も広がり、最新鋭機とは違った鑑賞の喜びがありますね。2枚ともとても素敵な「絵」ですね!
Commented by pretty-bacchus at 2009-09-19 23:28
桜さん、こんばんは。
さくらさんには、是非フランス語でご覧いただきたいですから後ほどメールでお送りいたします。
拙訳をお客様用に挨拶状にしたのも添付いたしますので、ご覧下さい。
友人への贈り物のご挨拶はまた別なのですが、これは解禁間近にお送りいたします。お楽しみに!!

Commented by pretty-bacchus at 2009-09-19 23:37
札幌生活管理人NAO さん、お返事が遅くなってごめんなさいね。
ほんと、今年はいつもの年以上にボージョレヌーヴォーの到着が楽しみですね、、、

Commented by pretty-bacchus at 2009-09-19 23:44
婆美以 さん、いつもアリガトウございます。
はい、五穀豊穣の歓びは皆さんで分かち合って下さいね。

演舞場にあの日いらいていらしたのですね。
私は八名の男性をご案内していて、きっとひどい状態でしたでしょうね、
お目にかかれずに残念に思います。

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