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2009年の年の初めに思ったこと
2009年1月6日 火曜日 はれ

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 日本が、世界が始動しはじめた。
麻生内閣も、オバマ氏も、経済界も、、、そして私たちも動き始めた。
まさに二十一世紀の始動だ。

世紀が変わるとその真の変化は、その数年後に現れる、と以前何かで読んだことがある。
2008年は二十一世紀という世紀の激動の一年のはじまりだったに違いない。
世界未曾有といわれ、100年に一度といわれる経済危機、これを世界はどう乗り切っていくのだろうか。

二十世紀の激動のような変遷がつづくのだろうか。
石炭から石油の時代へと変わり、アメリカがリーダーシップをとり、右肩上がりの経済成長をしつづけた
二十世紀後半の世界経済は、突然、そのアメリカ自身から発した金融危機で、
世界中が混乱に陥っている。
今回のパリ滞在中の爆弾騒ぎも、何万人という学生デモも、その引きずりの影響があったに違いない、

 前世紀は、二度の大きな世界大戦を経て世界は新しい形を迎えた。
1989年の東西の壁の崩壊から早や二十年、半世紀も続いた東西冷戦を終焉に導き、
米国の超大国の時代を作り上げた二十世紀の繁栄に、終止符を打つ音頭をとったのは、皮肉にもその米国であった。

共産国の民主化、さらに数十年前からの構想であったというEecがEuになり、今や27カ国が加わって
一団となって強いユーロとなっているが、これもいつまでつづくかわからないという人が多く、
今世紀の動きが注目される。

 経済状況は、ファッション界にも微妙に現れる。
パリに住んでいるときも、その後訪れたときも、必ず通ってみたいのは、
街のショーウィンドーやサントノーレ通りのブティックの色の変遷と飾り付けだった。

世界のオートクチュールのオーナー達は、その時代の経済状況をしっかりとみてとり、
その数年先の顧客層の動きをみて、その顧客願望がショーウィンドウに現れていた。

特に、エルメスの大きなコーナーのショーウィンドウには極端なほどあらわれていた、
日本が経済成長をとげ、エルメスの顧客の大半を占めていた頃は日本風、
アラブが台頭のときはアラビア風、そして時には米国人好み、時にはフランス風にと、
微妙に世界経済を象徴していると思っていた。

それがなんと昨年末のショーウィンドウは、妙にアラブ風、、あるいはロシア風?
グレーと白をふんだんに金彩がつかわれた作品は、少なくとも手放しで、
素敵にエキゾティックとは言えないようなショーウィンドウだった。
経済しったいで十数年、日の目をみない日本のかけらはどこにもなかった。

 今年になってアイフォンでシャネルのアクセサリーのページがアップされていたが、
これもロシア風か、エジプト風というか、金をちりばめた大きな露風の帽子だったり、
縁取りが金色のショールだったり、ロシアの貴族とか成金達の顧客層を見込んでいるからだろうか。

 数十年前にフランスのある人から聞いたことがある。
主たるオートクチュールのオーナー達が、年に一度地中海の島に集まって会議をしているという。
イヴサンローランがいつも中心に座り、大きな白い猫を抱いていたという。
まるで007の映画の世界のようだが、本当のことらしい。

そこでは、その後の数年のファッションの傾向、色などなど、が暗黙に決まるというのだ。
常には競争相手の彼らが、こうして集まり、世界の経済動向を見据えて、
ファッションの傾向を決めていたというわけだ。

 ココシャネルが才能を現しはじめた二十世紀の初頭、男性達にじゃまをされながら、
あるいは戦争中には敵国の将校に気に入られて、実力を発揮しはじめた頃には、
そんなミーティングは無かったに違いないが、その後の二十世紀後半には、
ファッションリーダー達の談合?があったのだ。
その後世界の情勢が変わり、今はそれも終わり、ファッションリーダー達の会合なぞは
ないのかもしれないが、、、。

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2009年の年の初めに思ったこと_a0031363_0263476.jpg  (エルメスのサントノーレ側のショーウィンドウ)


2009年の年の初めに思ったこと_a0031363_0273976.jpg (コーナーの両側がガラスの広いショーウィンドウ)


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 私自身の二十世紀は、どうであったろうか。
戦後の恵まれた教育を受け、男女均等法がまだ存在しない時代に仕事を始め、
単身赴任でパリに駐在し、その後は、おそらく日本女性で初めてかもしれない、
インターナショナル チェーンホテルチェーンとして誕生したばかりのホテルメリディアンチェーンの
セールス&マーケッティングの日本代表として世界中を飛び回っていた。

365日24時間体制で頑張った後、44才の時に突然辞表をだして、その後の人生をリセットした。
(数日後に入院して死線をさまよう大きな手術をうけたが生還した)

 晴耕雨読の人生を送りたいと、関係者2000人にだした挨拶状は、可愛がっていただいていた、
ホンダの最高顧問の藤沢武夫さんに褒められて驚いた。
藤沢さんのこと
アデューエールフランス&メリディアンのロゴをいれた自作のカードの内容が、
どうやら東京オリンピック以降の高度成長期の日本の四つの時点を、
ジャンボ就航時などの
私自身の経験で歩いた記録だったようで、その時初めて、自分の四半世紀を邂逅した感じだった。

そのカードの事は、今でもウェスティンホテル社長の安富さんとの話にでてきて、
往事を知ってくださっている方との交流が続いているのは嬉しい!
ttp://keico.exblog.jp/5483900/
関連記事

http://keico.exblog.jp/5485974
オンリーイエスタディーMemoires du Voyage-Arabu


 その後、身内の貿易の仕事の手伝いで、ヨーロッパの美しいものや、ワインや食品を日本に紹介したり、
日仏交流のお手伝いをしていたのだが、運命の神のいたずらで、
一昨昨年に複雑な国際詐欺事件に巻き込まれて、ほんの二週間ほどで、それまで築いた全てが壊れ、
失われてしまった。
長年頑張ってくれたスタッフも去った。

 立ち直れないほどの衝撃と心痛は耐え難いものだったが、弟も私もどうやら癒されはじめだした。
母と家族と友人達の暖かい見守りに保護されて、、、、。

 祖母や母や、私たちの先輩の女性達は、男尊女卑の時代に、いくつもの戦争や、関東大震災や、
世界恐慌を体験しながら、次の世代への子供達を育ててきたのだと思うと、
今の自分はまだまだ甘いのだろうと思い、苦労も歓びも人生の一つの課程なのだと、、、、
考えられるようになった。
がしかし、今こうして又、日本中が、いや世界中が、混沌に陥っているということは、なんとしたことだろう。
どんな風に対応していったら良いのだろうか、、、、

 二十一世紀の日の出を見てみたいと言っていた父は、それも果たせずに、
誰の手も握らずに、たった一人で朝まだきの4:44分に彼岸に旅立ってしまった。
前夜には母の京都からのおみやげの和菓子を味わい、好きな黒ビールを少し飲んで、
“美味しいね、と喜んでいたという。
病院の落ち度ともいわれたが、それもまた父の人生の一つの終わりだったに違いない。

 その朝一番の便で、スイスの友人、アレキサンダー・シュミタイニーの告別式に発つ予定だった私は
急遽病院にかけつけた。

 父と一緒に少しでも過ごしたかった二十一世紀は、今や混乱の態、父が生きていたら、
どんな風に感じるのかを話してみたかった。
いずれにしても、父母の教えに従い、日々研鑽を重ね、学び続けて、父の分まで、
しっかりと二十一世紀の悲喜こもごもをこの目で見据えておきたい、
その狂乱も混沌も、そして必ずくるに違いない、その再生も。
そこには自分自身の苦悩も葛藤も沢山あるに違いないけれども、しっかりと受け止めなければならないだろう。

 今週号のSAPIOの曾野綾子氏の3ページにわたる年頭エッセイ「賢い国民の幼い国家」で
書いていらしたのは、
麻生首相の気になるスピーチから始まり、メディア論から、教育問題に及びんでいる。
最後のほうに
“人生は基本的に永遠に生老病死の残酷な経過を辿るし、社会は常に潜在的に激変の危険を抱いている。
(中略)こうした残酷さを基本的に内蔵する人生を生きるには、やはり厳しさに耐える訓練と、
哲学を学ぶことが必要なのである” と。 
                  ”
そうなのだ。
“苦しさに打ち勝つことを試みる”
初恋の人のノートにあった言葉は、私の人生の教訓であり、宝物であるのかもしれない。

 日本という四季のある素晴らしい国で、多くの人々の愛情につつまれて、こうして一日一日を過ごせることに、
心から感謝をして、二十一世紀の世を一歩ずつしっかりと、今年も邁進していこう。

と、年の初めの始動に考えている。
by pretty-bacchus | 2009-01-06 23:59 | ♡Daily life日々の事など | Trackback(1) | Comments(9)
Tracked from イヴサンローランの最新情報! at 2009-01-26 23:03
タイトル : イヴサンローランの最新情報!
イヴサンローランの化粧品・財布・バッグの最新情報満載です!... more
Commented by iikayo at 2009-01-07 01:23
新年のご挨拶ありがとうございました!
遅くなりましたが、今年もどうぞよろしくお願いします。
パリのショーウィンドーに時代や、経済の流れが
反映されているとは(驚)
ただただ、美しいなぁ~と眺めているだけでした。。
なんだか不安定な時代ですが、今年も素敵な一年になりますよう・・・
Commented by caopom at 2009-01-07 01:34
深みのある厚い人生に、いろいろなことがあったのですね。

曾野綾子氏の言葉、本当に納得です。
「厳しさに耐える訓練と、哲学を学ぶことの必要」。
これからの世代にむけて、身にしみて必要だと思いました。
日々、こうして恵まれた環境で生きていられることに感謝して、
今年も頑張りましょう。
Commented by scottts at 2009-01-07 07:41
ビジネスアドベンチャー本を書いてください。
日本も国際社会にどっぷり浸かっている今、インターナショナルに動かれた
草分け的なpretty-bacchusのご経験は特に若い人たちにとっては
大変興味深く、学ぶことも多いものだと思います。
Commented by pretty-bacchus at 2009-01-07 10:48
iikayoさん、バルセロナの写真のアップを楽しみにしています。
どうぞ本年もよろしくお願いいたします。

Commented by pretty-bacchus at 2009-01-07 10:50
caopomさん、ミラノは大雪だそうですね。
「厳しさに耐える訓練と、哲学を学ぶことの必要」という言葉をかみしめながら、今年も頑張りたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

Commented by pretty-bacchus at 2009-01-07 10:53
scotttsさん、いつもありがとうございます。
どうも、いろいろ書きすぎてしまったようですね、、、
たしかに草分け的で、キャリアウーマンの走りと言われたりしましたが、本人はそうは思っていなかったのですが、、、
<ビジネスアドベンチャー本>ですか、、、、なるほど、冒険小説になるかもしれませんね、、、

Commented at 2009-01-07 19:09 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by pretty-bacchus at 2009-01-07 19:45
shinobu suzukiさん、お久しぶりです。
よく、このブログがおわかりになりましたね、、、、
お元気でご活躍ですか?
メールアドレスは、変わっていませんので、どうぞご連絡ください。

Commented by pretty-bacchus at 2009-01-09 19:32
婆美以さん、こんばんわ。
貴女様も<廃業・統合・整理の嵐、>のような大変なご経験をなされてらしたのでしょうか、、、。
自分で経験しなければ決して真からはわからいであろう諸々を共有させていただいている私です。

 私の十数年を辿ってくださったようですが、お恥ずかしいです。
少々、正直に書きすぎていると、友人から言われていますが、赤裸なままの記録を残しておこうと思うからですが、こうして貴女様のような方々にご覧いただき心より感謝しています。
どうぞ今後ともお見守りください。


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