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80歳の井上さんのヴィンテージワインを味わって
2008年10月30日 木曜日 晴れ

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 そういえば、ここ数年ゆっくりとオペラにも音楽会にもいっていない。
心に心配事があると、がさがさしていると、ゆっくりと数時間劇場にゆっくりと座って
音楽鑑賞の気持ちになれないのかもしれない。

 オペラ友の井上さんは、いつもお元気でオペラに海外にと晩年を楽しんでいらっしゃる
ダンディーなおじさまだが、なかなかご一緒できないでいる。

 親しい年上の人生の先輩の最長は20歳以上も年上の方が何人もいらっしゃり、
年下にいたっては30も下の若者もというのが私の交友関係なのだが、
どういうわけはここ数ヶ月は年上の方からのお誘いが多い。

 “生まれ年の一年前の1928年のワインをあけるのですが、ご一緒しませんか”と
お声をかえていただいたのが数日前。
下戸な連れ合いよりも、私が一緒した方が、どうやら皆さん嬉しいようだ。
“枯れ木も山の賑わいですからね〜〜〜”(この言葉を私は30代頃から使っていたようだ)

 お友達と二人だというから、喜んでお供することにした。
最近はパンツルックが多いから、たまにはスーツとハイヒールで少しお洒落をしよう。
久しぶりにネールサロンで秋の色にして、美容院で髪を整えて夕方の銀座に向かった。

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 (バスが間に合ったので、早速走るバスの一段高い座席から、夕方のお堀をスナップ。
お堀端の街灯に灯が灯ったばかりの頃、、、)


 今週は銀座は二度目。
四丁目の近くのカフェで待ち合わせて、三人でむかったのは、みゆき通りと花椿通りの間にある交詢社。
1880年(明治13年)に福澤諭吉が提唱し結成された日本最初の実業家社交クラブで、
名称は「知識ヲ交換シ世務ヲ諮詢スル」に由来するという男性だけのクラブ、
それも慶應義塾出身者が中心なのだという。
数年前に建て替えられたが、随所に歴史的建造物であった部分が残されている。
金子さんが会員になってらっしゃり、よくいらっしゃるのだそう、、、、、。

 新しくなってからは初めてで、エレベーターホールのクロークで署名をして、
さらに次の間を経て中に入ると、高い高い吹き抜けは昔の面影を残していた。
つきあたりの「酒場」でまずは、カクテルのアペリティフ。
少しお話をしてから、食堂に移った。ほとんどのお客様が男性という珍しい光景に少々驚いた。

 今日のメインは、1928年のボルドー、ポムロールの赤。
井上さんが、ドイツに住むピアニストのお嬢様を訪ねた数年前に求めたという代物。
“リコルクしてあると良いのですが、なにせ80年前のコルクですからね、、、”と
心配そうなシェフソムリエの原田さんが、そ〜〜〜とコルクを抜き始めたが、
やはりぼろぼろと屑がでてだめだった。
こういうときは、もう漉すしかない、、、、

80歳の井上さんのヴィンテージワインを味わって_a0031363_20432524.jpg (今日のお目当ての1928の赤ワイン)


80歳の井上さんのヴィンテージワインを味わって_a0031363_2052497.jpg (80年前のコルクと格闘する原田シェフソムリエ)


 やがて大きな漏斗と漉し紙で、ぽとぽとと落ちる赤のいろに、じっと見入る三人。
誰も話をしない一瞬!
上手にデカンだーをしてくださったワインを、おそるおそる、まず鼻に、、、
“生きている、、、、素晴らしい〜〜”
あの独特のポムロールの優しい香りが立ち上がってきた。

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(漉し器?の登場で、、、熟成された独特のあの色の液体が静かに流れ落ちる、、、)

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 (すぐ隣の方を瞬間ノーファインダーでスナップするのは意外に難しい! レストランの中で)


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 (ムニュー デグスタシオンの、メインディッシュはローストビーフでワインとのマリアージュは最高でした)



“乾杯! お誕生日おめでとうございます。”
ご自分が生まれる一年前のワインをいただきながら、彼の昔の若い頃の思いではなしに華がさいた。
四谷の恵まれた家に生まれた彼は、なんと20歳の頃には、ハーレーダビッドソンの
サイドカー付きのオートバイに乗っていたなど、、、
今でもジムに通いピント胸をはって歩く姿はほんとにダンディーなのだ。
その上、インテリアー会社の現役会長さんで、社員の方に慕われている。

 金子さんは、長い間食の世界にいらいた方で、ワインや食にいろいろお詳しく、
フランスやカリフォルニアのことに華が咲いた。
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  (広いロビーではいポーズ!)


 食後は、また酒場に戻って、バーアルマニャックのフランシスダローズ1974.
(カウンターと数席のバーなのだが、交詢社では昔のまま酒場といわれているらしい)
このクラブはなんともお行儀がよく9時にしまってしまうので、最後の締めは、
ザ・コーたーハウスのカウンターで、keiko特製アレキサンダーで、もう一度、誕生日おめでとう!
生クリームとクレーム・ド・カカオの甘さが、バーアルマニャックのこくでおさえられて大人の味!

“うまい! 
僕が若い頃にこの特製を味わったら、やみつきになったでしょうね”と
井上さんの言葉がうれしい宵となりました。
by pretty-bacchus | 2008-10-30 23:59 | ♥Person父母,師友人,人生の宝物 | Trackback | Comments(4)
Commented by fyha at 2008-10-31 21:19
デキャンターで、ワインですか。
しかも、家庭でワインごっこじゃないですよね。
そんなところで、飯なんか食ったことないです。
赤には肉、それもあまりないですねー。
たまたま赤でした、そんなのばっかりですww
Commented by tth-photo at 2008-11-01 00:28
ダンディズムを感じる素晴らしいポートレイトですね。
少し暗いのが惜しい、、、
スーツを着るのは年に一、二度(笑)
私も、もっとダンディズムを磨かねば。
Commented by pretty-bacchus at 2008-11-01 12:31
fygaさん、こんにちわ。
私は仕事柄、ちきどきそういうところで食事をすることがありますのでs。
この交詢社は、財界男子の社交クラブで、私など普通いかれないところなので、物珍しくてキョロキョロしてしまいました。

Commented by pretty-bacchus at 2008-11-01 12:34
tth-photoさん、ありがとうございます。
面と向かってはなかなか撮られていただけないので、食事中、ノーファインダーでカシャッとしたのですが、宵表情に撮れました。
80歳のにじみ出る男の魅力ですね、、、


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