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漆黒の海にこだまし揚げ花火
2010年8月19日 (木曜日) 晴れ

 パリに発つ前の晩にいつも不思議に思う事がある。
今わたしは東京の家に寝ている、、、でも明日の夜にはパリのベットの上にいる、、、、、。
空を飛ぶ大きな物体に一歩足をふみこんだとたんに、もうそこは、日本ではなく、といってフランスでもない。
うとうととする間に、天馬にまたがってジャンプしたように別の世界に連れ去られるのだ。
ほんの二十数時間のあいだにまったく言葉も習慣も違う都にふわっと下ろされて、でもそこにいるのは、この私!

 パリの初日に思う事は、昨日の晩には私は、日の出ずる国NIPPONの東京で、出発準備でばたばたしていたのだということ、、。
での、その<昨日>はすでに私の<人生という旅の過去>であり、その過去がまた重なって積み重なっていき、
<未来>への一歩手前の<今日>という日を旅しているのだと、、、、、、。
その絶妙であったバランスは、いまやどんどん均衡が崩れていき、大きな過去の旅の堆積と、
日に日に小さくなっていく未来なのだ。
ほんとうに、時の流れの不思議さはいくつになっても不可思議に思うのだ。

 そう、それだから、その間にやってきた<今日>という旅の一日を大切にしなければいけないのだと、、、、
異次元に瞬間に移るという何百回というその体験は、体に染み付いていて、すぐにわたしは別世界で
第三のワタシになるのが不思議だった。
むしろかの地のほうがのびのびとして、“日本にいらっしゃるときよりも、とても自由で素敵ですね、、、”
とよく言われたものだった。


 暗い海を見ながらそんなことを考えていたら、突然、ものすご〜〜い、ど〜〜〜ん、と音で飛び上がった。
ちょうど、山崎豊子氏の『沈まぬ太陽』の御巣鷹山偏を読み出していて、25年前のJAL123便の事故の生々しい様子に
驚いていたときだったので、すわ〜〜後部の隔壁が飛び散ったときのどす〜〜んというあの音か!

いやいや、それはこの地の花火の日だったのだ。
急いでカメラを持ってベランダに出た。
隣家の壁にそのほとんどが隠れてしまうが、打ち上げ花火のかけらが見えて、十数分を久しぶりの花火観賞!にふけった。
花火の音と暗い海は、明るい明日の朝の前兆!に違いない。
思い切って今夕突然に、あの極暑地獄の東京を脱出してよかった、、、しみじみととその歓びをかみしめた。

 昨日の夜からまだ24時間もたっていないのに、今わたしは別世界にいる。
今夜は涼しく安眠できそうだ。
ありがとう、友よ!

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  ドアトゥードアーで二時間弱で着いてしまって、日没後すぐの遠い空と海に魅入っていた。
東京とは別世界の静けさと涼しさ! 
冷房無しでしのいでいたここ一ヶ月が嘘のようだが、あの灼熱汗だく地獄があったからこそ、
この別天地に酔いしれるに違いない。そして心から感謝できるのだろう、、、。
今日のこの日は、昨日までの積み重ねだのだ、、、、。


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by pretty-bacchus | 2010-08-19 23:59 | ♢Journey inJapan国内旅の記録 | Trackback | Comments(2)
Commented by 郁子 at 2010-08-21 19:16 x
やっと東京の焦熱地獄!を脱出なさったのですね。よかった、よかった。訪問者は皆さん一同に安堵していると思います。物事には限界というものがありますし、潮時ということもあり、敬子さんの脱出決断は、ほんとに時宜に叶ったものでした。
海風に吹かれ、温泉に浸かったり、しばらくはゆっくりと心身を開放して下さいね。
花火にも迎えられて、お幸せでした。タイトル句もこれでいいですよ。
Commented by pretty-bacchus at 2010-08-22 13:16
郁子さま、ありがとうございます。
もうほんとに限界でした。頭の上から汗が流れ落ちて、、、もちろん体中汗だらけでしたし、体調も急におかしくなりはじめていました。
潮時にきてましたね、、、今は潮時に海風に吹かれています。

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