2008年 11月 09日 ( 1 )

大沢在昌の新作「黒の狩人」を読破
2008年11月9日 日曜日 曇り

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 暗い朝だった。
散歩もやめて、今日は一日読書にしよう、、、とのろのろと起き出した。
前日ブルーに咲いていた朝顔が、蕾むことなくピンクのまま残っていた!
命を惜しんでいるのだな、、、、なんとも切ない、、、
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 通りすがりに隣の部屋の机の上に新しい分厚い本が二冊おかれていた。
う〜〜〜! 見るな〜〜〜左脳がいっている。
お構いなしに右脳で、のぞいていた。
黒い表紙に濃いオレンジの帯の上巻と、同じく黒い表紙に黄色い帯の下巻、二冊並べると表紙のイラストの
新宿のネオンの上を飛ぶドラゴンのような怪獣が一つになる。
うまい、装丁だ。「砂の狩人」と同じ多田和博氏だろう。

そう、あの大沢在昌の新作「黒の狩人」の上下巻だった。
帯に踊る文字は、
「警視庁、公安、そして中国国家安全部。それぞれの威信と国益をかけた戦いがはじまった」
逆転につぐ逆転、予測不能、驚愕のエンターテインメント!
もうだめだ、これで週末は、予定していた読書ができなくなる〜〜〜。

 私たちは、二人の本のジャンルが少し違うが、どちらかというと私の方が
両方の本を読むことになってしまうことが多い。
大沢在昌は昨年の「魔物」以来読んでない。

彼の本は、読まなくても別にいいんだが、読みたくなってしまう作品が多いのだ。
『感傷の街角』以来、
『新宿鮫』シリーズ、『闇先案内人』と数々のハードボイルド冒険小説で現代社会を
えぐり出すような作品が多いから興味は尽きない。
吉川英治文学新人賞、直木賞、日本冒険小説協会大賞日本軍大賞、柴田錬三郎賞などの賞を取っていて、
その作品のジャンルの広さがわかる。

 今回の新作「黒の狩人」の主人公も新宿署の組織犯罪対策課に所属する、
一見さえない中年のマル暴担当のベテラン刑事佐江。

 話は1989年の天安門事件の話から始まり、やがて中国人が被害者となる連続殺人事件が起きる。
佐江と、公安より押し付けられた中国人通訳毛、外務省中国課の職員野瀬由紀の三人が解決に奔走する。

新宿に蠢く日本ヤクザ、日本の刑事警察と公安警察、中国国家安全部、外務省まで入り乱れて、
もう途中ではやめられない面白さだ!
面白い。しかもその面白さは、読み進むうちにみるみる加速する。

外務省勤務の野瀨由紀の言葉を借りて、組織批判もあり、公安の国家間の政治的駆け引きが語られ、
日本のヤクザがらみの暗闘が次々と起こっていく。
中国という大国の恐ろしさと、それを治める難しさの中にも芽生える人と人との友情!

話の軸には主人公の人間的魅力で貫かれ、そして男同士の友情と、男的な判断の出来る
一人の美しい女性が織りなす世界と恋愛も絡んでいく。

こんな女性がきっといるに違いない、と妙に納得!
でも男社会の外務省では、生き残れないのだろう。
「人を動かすのは情報ではなく人なのです。あなたがいたからこそ、二ヶ国の人間たちが動いた」そして「心の平穏」を語る中国人の男性。
心ある人ある処に道は開けるに違いない。

 寝たり座ったりと一日中厚い本に熱中して何も出来ない日曜日だったが、
とっても充実した気持ちで読み終えたのは、暖かい主人公達の別れ際の“再見”という言葉で、
又あえる希望が覗き、次の作品へのプレリュードになっているからかもしれない。

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  (カバーをはずすと、中の本病氏は、帯とは反対色)

  (レンズのテストで逆行の窓際にジャワ更紗を敷いて本を撮ってみた)
by pretty-bacchus | 2008-11-09 23:59 | ☆Books本の虫,講演,講習会など | Trackback | Comments(8)