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葉桜のベランダに鳥戻りきて=「小裂帖」志村ふくみ
2007.04.09 月曜日 晴れ

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 月曜日が始まった。四月の第二週が、、、、
葉桜のあとには緑の新芽が輝いている朝、、、、。
雀たちがあたたかい朝に喜んでいるようだ、、、、。
なんだかグッたりしているのは私だけかしら?
旅の疲れと風邪とカルチャーショックのためだろう。だらしがないな〜〜〜

あんまり凄い方と、(それが親しい方だとなおさらのこと) お目にかかって、お話をうかがうと、
私は決まって軽い鬱になる。
”なぜ私は馬齢を重ねるだけで、何も人生の作品を残せていないのだろう、、、、と。
でも、いつもその後で、自分の小ささを恥じ、ワタシッテバカダナ〜〜〜〜と、またまた
そんな自分に自己嫌悪に陥る。

 志村ふくみ先生の、そのあまりの凄さは、もはや人の、女性の域を脱している。

先週後半は、桜の精と、志村ワールドの色と光と織りと、井上先生の深いオーラとに、どっぷりと浸かった。
その喜びの後は、私はぐったりとカルチャーショック的な疲れにとらわれている。

先生からいただいた新しいご著書「小裂帖」を新幹線のなかで読み始めた、
いつもなら帰りの新幹線は疲れてぐったりと寝入ってしまうのに、
最後までこの本からはなれる事が出来なかった。

 「小裂帖」志村ふくみ。
「もう半世紀近くも前。織物をはじめた頃から、染めて織った布の端裂を貼りためておいた、
これはその「小裂帖」を、そのまま本にしたものである。
と、帯にあるように、染織を始めた頃から30年の間に、先生が染めて織った布の端裂を
貼りためておいた「小裂帖」を、大きさも順番も変えずにオールカラーで再現したもの。

その現物をみせていただいたことがあるが、今回のこの出版物は、見事にそれを再現している。
装丁も和の感じをしっとりと出していて、さすがに吉田さんのお仕事である。

 比較的暗いと思われる色調から、それに続く時代の紫紺、茜に目覚めて、緑の不思議さを体現して、
今は藍にいどんで、それらで染められ織られた布の小裂が先生の感性で張られている 「小裂帖。
現代の印刷技術で見事に布の触感までもみてとれるようだ。

さらに素晴らしいのは、その色と染の世界を解説した、最後の方の書き下ろし
「色・かたち・裂ー解説に変えて、と、あとがき。
この部分だけで十分にすばらしい一冊の文学作品になる力作である。
一昨年からの二年の病を経て、さらに一つ高いところに達している”染織家志村ふくみ”の
自然界との宇宙との関わりを、先生らしい、なんともいわれぬ自然な語りで語ってらっしゃる。

また、藍が建ち、緑から藍に変わる瞬間を見事にとらえた扉の写真は写真家 井上隆雄の作品。
すごいあの一瞬を光と陰で見事に遷している。

〜〜〜〜〜
 春の桜と、人との深い関わりに、軽い疲れとおののきを覚えた後は、
自分自身の再生に少し努力をしてみよう。
教会の鐘が鳴り始めた、、、、、。
葉桜のベランダに鳥戻りきて=「小裂帖」志村ふくみ_a0031363_3181395.jpg

   新幹線内で志村ふくみ小裂帖を読む。
  片手で本を支えて、右手でブラインドシャッターを(ZD広角ズーム7~14mmで)
葉桜のベランダに鳥戻りきて=「小裂帖」志村ふくみ_a0031363_3191597.jpg

葉桜のベランダに鳥戻りきて=「小裂帖」志村ふくみ_a0031363_3195885.jpg
  扉の写真は写真家 井上隆雄の作品。 汽車がガタンと揺れてぼけぼけに、、、

by pretty-bacchus | 2007-04-09 18:00 | ♠Art&美術,詩歌,展覧会,お稽古 | Trackback | Comments(0)
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