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ボージョレヌーヴォー解禁の夜は、ご近所の若い方々を縁台にお招きして
2017年11月16日 木曜日 曇り

 私たちの年代では、ワインやチョコレートの嗜好品を一般にいただけるようになったのは
中学生や高校生頃からだろうか。
それでも我が家では船会社の叔父がいろいろ運んでくれて、チョコレートのきれいな包み紙を
コレクションしたりした記憶がある。
酒のお客様が多かった中で、時には叔父からのワインがあったりすると、そっと口にしていた頃が
なつかしい〜〜〜。

 ワインとの関係が深くなったのは、大学を終えてエールフランス国営航空会社に入社した
1960年代中頃からであり、その後パリに駐在員としてでてからの1970年代初めからだったろう。

 四年間の駐在を終えて帰国したことにはすっかりワイン党になっていた。
連れ合いが某商社から独立して起業してからは、そのメインはスポーツやファッション用品だったが、
フランスとイタリアからの食やワインも扱ってもらうようになっていった。
その頃は、コンフィチュールやママレードや、本物のバターすら日本に入るのはすくないころで、
ワインの輸入をするには、初回は二週間も暑い税関廊下に置かれて、
通関が終わった頃にはすっかり劣化していたりした。

 フランスのそれもブルゴーニュからのワインも少なく、扱う商社でも数社だけだった。
そんなときに幾つかな銘醸ワインの一つとしてシャトー・ドゥ・ピゼイを紹介されたのだが、
それはモルゴンとボージョレブランとボージョレヌーヴォーだけだった。

日本ではようやくボージョレヌーヴォーが少し知られ始めてはいた。
どうしようかと思ったが、休暇を数日いただき、すぐにパリ経由リヨンまで飛んでモルゴンの造り手を訪ねた。
(良いお話しがあったら、すぐに飛んでお話しを聞きなさいというのは、
元吹田貿易オーナーの吹田安雄さんのアドヴァイスだった)

 その土地の葡萄造りにたいする情熱、自然や人にたいする謙虚な思い、そしてその年に育った葡萄で
自然の発酵醸造のマセラシオン ナテュラーレでワインを創り上げるパスカルデュフェートルの人柄に
すっかい共感して、シャトー・ドゥ・ピゼイのボージョレヌーヴォーにかかわるようになっていった。
(そしてやがて第二次ボージョレヌーヴォーブームと立役者となっていったのだ)

 その翌年の十一月(1982年)に、ボージョレヌーヴォーの大きな樽をいくつも入れて、フランスからの
チーズやお菓子もいっしょに輸入して、日本で行われたJATA(観光国際会議)でお披露目をしたのだった。
私はちょうどエールフランスから出向してホテルメリディアンチェーンの日本代表としての仕事を
任された時だった。(その年に奇しくもJALホテルチェーンが誕生していた)

その年の会議は盛大で、昼間は催し物場と会議室での観光関係会議、夜は開催のホテルを中心に、
各国の航空会社やホテルチェーンやトラヴェルエージェントが大小のレセプションを行うことになっていた。
四年間のフランス滞在とその後のいくつもの経験で、これでは普通のかたちでは各国からの多くの人々を
惹きつけることは無理だろうと考えた。

 当時のホテルレップの栗原寛さんやインターコンティネンタル代表の若狭さんなどにアドヴァイスをいただき
そのホテルの一番大きいプレジデンシャルスイートと隣のコネクティングルームを借り切った。
部屋のベットはすべて取り払ってもらって、中心には大きな机の上に15リットル(ボトルにして20本)の
シャトー・ドゥ・ピゼイのボージョレヌーヴォーを二つと美しいワイングラス、四方に丸テーブルを配し、
そこにフランスからの珍しいチーズやジャンボンドゥパリ(ハム)や食品を配した。
まだチーズも今のように種類がなかったころで、カマンベール オ カルヴァドスはもちろん、
大きな丸いブリとかブリア サヴァランなどは日本には入ってなかったかもしれない。
(本間るみ子さんが後につくられたフェルミエさんももちろんまだ出来ていない)

このホスピタリティースイートのおもてなしは大成功を収めて、シンデレラタイムをすぎても賑わいが引かずに
二日で2000人のお客様にお楽しみいただくことになったのだった。
今でもその頃の事を覚えていて下さる方がいらして時に話題になると聞いたことがある。

その後<ホテルメリディアンチェーンwithフレンチタッチ>として私の六年の任期のあいだに
<エールランスで飛びメリディアンチェーンのホテルに泊まる>というツアーが沢山組まれたのだ。
その間にもチェーンは大きくなっていき、アジア、アメリカ、中近東と世界中に六十のホテルを有するまでに
成長し、そのオープニングの度に私は世界中を旅することになった。
しかし多忙をきわめて一日も休みを取れずに毎日真夜中まで。新青山ビル十五階の光は煌々とついていて、
ビルの管理のオジサンが心配して一時間おきに見回りにきてくれたものだ。

 その後、絵に描かれたように体を壊して退社。
大きな手術のあとに数ヶ月をゆっくり休んだが、その後は身内の会社でまたぼちぼち動き始めたのだった。 

 70年後半から90年代後半までには八十ものワイナリーにかかわるようになり、造り手を招いてのワイン会を
たくさん主催してフランス&イタリアワインや食の普及に奔走した。
なんともすさまじい四半世紀であったが、フランスの社交界にも招かれたりして、ワイン界だけでなく
美術界とかにも生まれた新しい人間関係に囲まれて、当時の日本女性としては珍しい体験をたくさん
させていただき、それはそれは楽しい人生の数十年であった。

 十年前にすっかり引退して、最晩年の静かな生活と思っているのだが、時として会に
ひっぱりだされることがあり、ま、それはそれで良いと思っている昨今。

 なつかしい思い出をたどっていたら、今年はなにかしたくなった。
そうだ、いつもお世話になっているご近所の方々を、ボージョレヌーヴォーの樽を割る会にお招きしたいなと
思いたったのは、ほんの数日前。


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数日前に突然、蕎麦ビストロの中嶋さんにお願いしてお蕎麦屋さんの一段上った縁台をお借りすることにした。
いつもは喫煙の方がでてきてぷかぷかタバコを吸うクスノキの下のほんの八畳ほどのスペース。
万が一の雨にそなえてアマゾンでパラソル&台を購入、机はAさんにお願いしたが、
パラソルとの調整がわからず断念。

いつもお世話になっているイタリアンのシェフ&スタッフ、焼き鳥屋さん、ドコモのお兄さん達。
大通りを渡った眼鏡やさんのヤマナカさん達、お隣の佐川のスタッフの方々、酒屋鈴伝さんにも声をかけた。
中ではKちゃんとAさんとT先生のお席。お隣は十人の団体さんで、解禁の日でお客様は満席のお店なので、
時間は六時半から十時半までとした。
(ほんとうはシンデレラタイムまでとしたかったのだがご近所からクレームがあると迷惑をかけてしまうので)

 メールアドレスが解っている方々にはメールで連絡、急遽イラストレーターで案内状を創って
昨日の午後に桑って歩いた。

 最高のボージョレヌーヴォーと言われているシャトーの樽ということで、皆さん興味をもってくださり、
七時を過ぎるころからだんだん賑やかになった。
中からはお野菜やソーセージやチーズ&ブレッドと、フォークを使わなくてもいただけるものを出して下さり、、、、なんと予定の十時半まで賑わったのでした!

こういうフランクな会の経験があまりない若者達が楽しそうに和気あいあいって、なんていいんだろう、、、と
息子や孫の世代の若者達とフランスの話をしたりして時は過ぎていきました。


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(ソムリエの資格をもっているKちゃんが活躍してくれて、、、、)

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(途中から、鈴伝さんにいらした女性のお客さんが湯吞みをもって現れた〜〜〜!)
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(CLOSEDの看板がでてしまいました)

 最後は、ヴァレットの岡田シェフが特製ピッザをもって現れて下さり、、、、でももうその頃には私は
いさかかダウン、、、、年をとったものです!

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 “一緒に今年の五穀豊穣をおいわいしましょうね〜〜〜”
 こんなふうにして若い方々にワイン文化の一端が伝わっていくってとても嬉しい!
酒の神、自然界の神さまありがとうございます

 (このくらいの会ならあまり費用をかけずにできるし、来年もしたいですね〜〜〜!)
(それまでもつかな?)




by pretty-bacchus | 2017-11-16 23:58 | ☆Wine & Dineワイン&食事 | Trackback | Comments(2)
Commented by 婆美以 at 2017-11-21 22:55 x
ブラボー!!
なんと洒落たサプライズでしょう💐
これぞPBさまならではと大喝采を致しました。

来年もなさるのでしたら是非とも通りがかってみたい~~
天のお情けかお酒に大変弱いのですが、実はアルコール大好き(^^ゞ

ご無沙汰していますがブログお伺いを毎日有難く楽しみにさせて頂いてます。
Commented by pretty-bacchus at 2017-11-25 18:26
婆美以さま。ありがとうございます。
この感じと思いをわかっていただき嬉しいです!
お酒をお飲みにならないとわかってからボージョレの贈り物はしていなくて
ごめんなさいね。

来年はどうぞ通りすがってくださいませね。

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