フランス政府公認ガイドGuide Conférencierの資格をとった友
2016年1月8日 金曜日 晴れ 育子さん

 パリからお里帰りをしている友人の森本育子さんと昼食をとった。
一昨年もお世話になっているし、今のパリの事をいろいろ聞きたかったので夕食をゆっくりと思ったのだが、
毎日予定が入っているというのでお昼に少し時間をいただいた。

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 パリの新聞社のシャルリー・エブド襲撃事件が起きてからちょうど一年がたっている。
その後にもいくつも未遂のテロ計画はあったようで、十一月にはついに大きな<パリ同時多発テロ事件>が
起きてしまった。

日本の企業の半数以上がフランス出張を控えているというし、JTBはじめ旅行業界はグループツアーが
少なくなってJALもANAも成田発着のパリ行きはなくなってしまっている。
たまにテレビで流れるエッフェル塔や凱旋門あたりにあまり観光客はみえない。
それは本当のようで、ここ一年でパリの旅行下請け会社はいくつも閉めてしまっているという。
もちろんその業界で仕事をしていたフランス人も日本人も困窮寸前にようだ、、、、。
多くの人の命を奪い、パリを壊滅させるようなテロは二度と起こって欲しくないし、それによって
パリへの旅人がなくなってしまうのもとても悲しい。

 彼女は東京近郊の都市の衣料問屋のお嬢さん。パリにはもう二十三年住んでいる。
パリの近郊南の街でご主人と男の子の三人暮らし。
JTBとか阪急とかのグループの仕事やガイドの仕事、時には大使館関係のお仕事もしているという。
とてもまじめな考えの女性で、パリに長く住んで、パリ的になりすぎてしまう人が多い中で、
きっちりと日本人の良さを守っているのはとても嬉しいし、仕事ぶりもとってもプロで素晴らしい。

 彼女もご多分にもれず去年は仕事が激減して大変だったようだが、テロ事件が起こる前に彼女は、
フランス政府公認ガイドGuide Conférencierの資格を取るために大学の特別講座の生徒となっていて、
一年間をそれはそれ厳しい授業を受け、自宅での何時間もの自習の時を過ごしたようだ。

 フランス政府は法廷の通訳人とか、美術やフランス歴史を案内するフランス政府公認ガイドには、
フランスの大学機関で所定の授業を受けてディプロマを取得する必要がある。
(Licence professionnelle de guide-conférencier)
フランス観光業界においてフランス政府公認の日本語ガイドとして活躍している人は何十人かいるそうだが、
近年そのガイド不足が深刻な問題になっていて、その理由の一つにディプロムを持つ人の高齢化が
指摘されていて、若手の日本語ガイドの活躍が期待されているという。

そんな話を一昨年十二月のパリで聞いていたが、彼女はその後、難しい試験を受けて
大学での授業にのぞんだようだ。

 この授業を受けるための入試試験ははんぱではない。
まず、フランス語を母国語としない受験者については、DALF-DELFやTCFなどのフランス語能力試験により
フランス語能力の証明が必要になり、また歴史、芸術史なども必須だそう。

歴史、美術史といった関連分野でBAC+2以上のタイトルを持つ人が対象になるというのだから、
バカロレアの試験をうけて合格した人でなければ無理で、国や大会社でフランスに送られた日本人以外には
無理なことだろう。しかし長年関連業務に携わっていて、その職業経験を証明することができると
受験資格を得ることができるのだそう。

 条件は整っても、フランス国内の大学機関は十校しかそのコースはなく、選んだ大学で試験を受ける。
書類と口頭試験での一般的な常識の他に、フランスの歴史、代表的な歴史的建造物や美術史の基礎的な知識で、
その難しい入学試験を通った後に授業は始まる。授業は仏語と英語で行われ、講義形式の授業に加え
実習もあり最低十二週間のスタージュが必修科目となっている。

一年間多くのカリキュラムがありフランス語と英語が必須言語で、母国語の日本語も求められる。
月曜日から金曜日まで毎日六時間毎日の授業の上に、彼女は予習復習に一日八時間以上も学んだとう。
前期及び後期に筆記試験があり、最終試験は筆記と九十枚のレポート。
それを通った人だけが、ジャンルはクジで決められて三十分の口頭試験で、その分野のフランス語の説明と
十分の質疑応答。さらに日本語の試験もあったようだ。
こうしてディプロマを取得することで、晴れて政府公認ガイドとして仕事をすることができるのだという。

 そんなアンビリーバブルの一年間の勉学の後に彼女は正式に、
フランス政府公認ガイドGuide Conférencierの資格をとれたのだ。
なんと素晴らしいことだろう!

追試験をうけて全員が卒業したようだが、今の仕事&観光客激減のパリで、これだけの人数の
フランス政府公認ガイドGuide Conférencierの資格をもった人が、どれだけ活躍できるかは未知数のようだ。

 昨年の受講者は二十三人で、観光業界で職歴を持つ人、大学教授だった人、企業代表の方々など、
幅広い職歴年齢層の人たちだったようだ。
私も若い若い頃にそんなふうに勉強したいと思ったことがあったが
とうてい無理だったに違いない。

(そういえば、1970年代にエールフランスのパリの駐在にでたときに、オルリー空港で十数人のスタジエが
一週間ほどいたことがあった。
グランゼコールを卒業後に政府の官僚や企業のトップとかになる人たちが、
いろいろの分野でスタージュ(研修)ををするのだ。
彼らと話す機会があって、その時に卒業試験の中に母国語のフランス語があることを聞いて
とても驚いたことを覚えている。
国の仕事に携わる人間には、その母国語の習得を義務づけることの重要性を、
日本でも徹底してほしいものだと思ったものだ。
近年の政治家の日本語は乱れているし、昔は言葉の模範といわれたNHKのアナウンサーの言葉遣いや
イントネーションはなんともひどい)

 二時間ほどの食事のあと、駅までもいろいろお話しをしながら歩いたのでした。
パリでの再会がまたれてしまう。名所旧跡を彼女の説明を聞きながら歩きたいものだ。
そんな頑張り屋さんの若い素敵な女性の友人がいてとても幸せ!

 嬉しい気持ちになって帰宅、日没時に借景の木々の遠くに緋色の雲がわいた、、、
あっというまに消えてしまって、、、、今日という一日も終わってしまいました。
自然の美しさも人生もあっというまに違いないのです、、、、。

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http://keico.exblog.jp/20528141
ノートルダム大聖堂とリルケ、Xマスイリュミネーション
2014年12月14日(日) 霧の朝、巴里六日目 
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(この後ろ姿はいくこさん)

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(2014年12月14日 パリのカフェにて)

by pretty-bacchus | 2016-01-08 23:59 | ♥Person父母,師友人,人生の宝物 | Trackback | Comments(15)
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Commented by k7003 at 2016-01-12 02:53
観光客激減という現象は誰だって憂うことができるのだけど、ここまで深く論究されているブログは読んだことがありませぬ。
私の FaceBook でシェアさせていただいて差し支えありませんか?
Commented by pretty-bacchus at 2016-01-12 05:27
NKさん、おはようございます。

フェイスブックは見るだけにしていますので、よくわかりませんが、シェア-することなんてできるのですか?
嬉しいです。どうぞよろしく!

頑張っている若い友人達のことは、フルネームで書くべきでしたね。
てにおはも含め、もう一度これから見直しますね、、、、。

Commented at 2016-01-12 07:02
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2016-01-12 08:59
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2016-01-12 09:03
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2016-01-12 09:29
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by pretty-bacchus at 2016-01-12 11:37
鍵コメントさま、のちほどそちらにまいります、、、。

Commented by pretty-bacchus at 2016-01-12 11:39
鍵コメントさま
はいそうです。
<アルザスワイン街道-お気に入りの蔵をめぐる旅-森本-育子>
彼女はワイン関係の仕事ではないのですが、自然派有機栽培に興味をもってたった一人で
四年もかけて何度も訪れて自分で撮って書いて、編集も校正も一人でしたそうです。

〜〜

Commented by kurabusobae at 2016-01-15 08:01
なにごとも異文化の中で到達するのは大変なことでしょう。
努力と粘りなのかなぁ~愚生のような怠け者には「想像だにしない」
難関ですね ナナハン拝
Commented by pretty-bacchus at 2016-01-17 11:37
ナナハンさん、頑張り屋の友がいてとても嬉しいです。
それにしてもすごいことだと、ほんとうに驚嘆しています。

Commented by salzburg-info at 2016-01-21 06:55
パリへの観光客激減の話は、オーストリアの状況を見ても良く理解できます。こういう時こそとパリを訪れるヨーロッパ在住の日本人友人もいるくらいです・・・。

私もオーストリア国家資格ガイド免許を所持しておりますので、フランスと似たようなシステムで資格を取得した一人です。パリから遠く離れたザルツブルクでも今回のテロの影響は大きく、ガイド業を始めて8年、これほど仕事が少なく、キャンセルされた冬は初めてです。同じくガイドの高齢化が進んでおり、43歳の私がザルツブルクの日本語ガイドでは最年少です(ウィーンには私より若干お若い方が居るそうですが)。他の国の様子を拝見できて非常に参考になりました。

ザルツブログ sepp

Commented by fiverr cocoserv at 2016-04-15 02:27 x
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