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NHKのプロフェッショナル <いのちの色で、糸を染める 染織家・志村ふくみ >
2013年5月29日 水曜日 雨 京都にて

 27日のNHKのプロフェッショナル
<いのちの色で、糸を染める 染織家・志村ふくみ >を観た。
デジタル化された色が少しきつすぎたとはいえ、NHKのハイヴィジョンでさすがに美しい色!
藍小屋のあの藍がめの中の老いゆく藍の色が生きているようだった。

NHKのプロフェッショナル <いのちの色で、糸を染める 染織家・志村ふくみ >_a0031363_12172217.jpg
(http://www.nhk.or.jp/professional/ より)

ふくみ先生の<自然から色の命をいただく>色へのこだわりと色に魅せられた人生が美しく描かれていた。

“食べていくために、修行の日々は過酷だった。
くず糸をもらって織りました、、、と。語るふくみ先生。
人生の谷間の頃のことも語られていて、先生のあのころがるような優しい実声で語られる諸々は胸に詰まった。

貧しかった頃の頃をふりかえって、“紺と赤の毛糸しかなくそれで織った、と。
(四月にギャラリーフクミシムラでの<しむらのルーツでその帯も展示されていた)

右奥には、初めての日本伝統工芸展(1957年)で入賞した作品の<方形文綴れ帯>が
さりげなく置かれていた)
NHKのプロフェッショナル <いのちの色で、糸を染める 染織家・志村ふくみ >_a0031363_122472.jpg<方形文綴れ帯>

http://keico.exblog.jp/17654086/
2013年4月16日 火曜日 晴れ
志村ふくみの<アルスシムラ>開校式&入学式とレセプション

“目の前に夢のような色がでてくる、楽しいですね〜〜。
ほんとうに楽しそうなお顔!

 佐野当右衛門さんの桜の小枝、くちなしの果実、素手で採られたカラスノエンドウ、ほとけのざ、
むささきの根、そして工房のたまねぎの皮と、今までにない映像も新鮮だった。
嵯峨の夜の満開の桜もきれいだった〜〜〜!

“どの植物も最も純粋な最高の色を持っています。
“学ぶほどに痛感する色の世界です、、、。
即興で色を紡ぐというが、学びながら、こつこつとそれまでに至るご苦労はいかばかりだったろう、、、。
“命の息吹を感じる、と。

 桜の命を移す桜染めでは、“咲く準備をしているけなげな桜、その枝が幹に蓄えられた花を咲かせる命を
色にいただくのです。
でも今回は、“桜の匂い立つような色がでなかった、と、染め上がった糸をみておっしゃった。
あの<藤原の桜>を書かれたのを思いだした。

“死と再生を、大切なものをいただいているのです。命を色に変えるのです。
“導きの書はないが、導きの色はある、それを求めています。
“匂うが如く、、、生命力なのですね。
“はかなく妖しく悲しく
“花の精とのまじわり、、、ただならぬ世界があるのです、、。
“色無き色、命の色を追いかけ、、、。
この番組のふくみ先生のモノローグは、この歳までひた走りに走った思いが凝縮されていたにちがいない。
八十八歳のこの日本女性は輝いていた。

 45年前に藍は日本の女性を最も美しく魅せる色とおっしゃった母上小野豊さんの影響で始められた藍染め。
藍の深淵の色を求めて満月を待つ。
かってそのご著書「一色一生」で書いてらっしゃる。
<かめのぞき,水浅黄,浅黄,縹,花紺,紺,濃紺と,藍は甕をくぐらせる度数によって
徐々に深さを増します。
その移りゆく濃淡の美しさは水際の透明な水浅黄から,深海の濃紺まで,海と空,そのものです。
あの蓼藍(たであい)という植物からよくぞ人間はこれほどの自然の恵みを引き出したものです>と。

 満月に紫と金色に輝き始めるそのかめの中の藍に真っ白が糸をそっとつけていく瞬間!
“闇の中の世界をこちらの世界に引き入れて、現実的な光とか風とかあてると色が変わってくる、、、。
藍が年老い衰える最後のかめのぞきで、最後に求められている<夕立が去った後の空の色>はでなかったが、
染め上がったグレーをわずかに含んだ深い水色を見て、
“すきだわ、この色! フランス絵画のよう、と、目を細めで愛でる<人間国宝志村ふくみ>は、
その色を“人生の深みを感じさせる色、苦労した水色と納得するように語っていた。

“不可能で出来ないことの夢を追い、
“学ぶほどに痛感する底のない深さ、生涯をかけて色を追うのです。
“伝説の色に挑むのです。
不可能を、夢のあとを追っている、と。
でも、なにかもっともっと語りたいことがあったような気もしてならない、、、。

NHKのプロフェッショナル <いのちの色で、糸を染める 染織家・志村ふくみ >_a0031363_12175724.jpg
(いいお顔をしてらっしゃいますね!) (テレビ画面をカシャッ)

 工房でお弟子さん達と過去五十年の作品の小布をならべながら、
“小布は愛しい、とあの幼女のような純なお顔!

 この番組でまた多くのしむらファンが生まれたことだろう。
その一生の壮絶なドラマ
を描いていたが、もう少し深く描いて欲しかったと思うのは私だけだろうか。
染織家志村ふくみは、また随筆家であり、昭和58年(1983年) に大佛次郎賞を受賞した「一色一生」から、最新作「伝書」にいたるまで十数もの名著を書いてらっしゃる。

NHKのプロフェッショナル <いのちの色で、糸を染める 染織家・志村ふくみ >_a0031363_1343933.jpg (四月のギャラリーシムラのコーナーにはご著書が)


<工芸の場合,まずよい素材を得ることがもっとも肝心なことであり,根元となる部分の仕事,
繭から糸を紡ぎ糸染をする、、、ちょうど大地に種子を蒔き,芽の生える頃が最も心踊る作業であるように,
私の場合も植物の花,樹皮,実,根などを炊き出して染液を作り糸を染めるその段階が一ばん面白いのである。
実にさまざまな色が染まるというより植物染料にかぎっては生まれるという方が適切であるかも知れない。
すでに自然がそこに準備し,貯えておいたものを導き出す手伝いをしているようにも思われる>
(「一色一生」より)

この映像が撮影された同じ頃に、ギャラリーシムラでは、シムラのルーツで、その第二章
<民芸運動とその人たちいとの出会い>が展示されていたのに、、、。
 そして色を求めるその課程で出会った<ゲーテの色彩論>と、その色環をも少しだけで良いから紹介して欲しかった。
(シュタイナーはともかくとして)
NHKのプロフェッショナル <いのちの色で、糸を染める 染織家・志村ふくみ >_a0031363_1333787.jpg
(ゲーテの色彩論について)


 ここ数年テレビ離れが伝えられているが、その一端がこの番組にもあるのだろうか?
どの年代をターゲットに置くかはむずかしいことだろうし、制作者も若くなっているから、
一般的には<素晴らしい番組だった>のだろうが、私たち年代とか、ふくみ先生を良く知る人たちは、
織りの素晴らしさもない<名随筆家志村ふくみ>の紹介もなく、もの足りなかったのではないだろうか?

 放送が終わってすぐに友人達からメールやコメントが続いた。
<染めに特化されていたので、もう少し織や文章のほうにも触れていただいてもよかったかなとも
欲張りにおもいました>etc.

 ブログのコメントでは、ちょうど遡って<志村ふくみの<アルスシムラ>第五回目の授業>
http://keico.exblog.jp/17850420/
2013年5月22日 水曜日 晴れ 真夏日か?
をアップしたばかりだったので、その項に、
Commented by 郁子 at 2013-05-27 23:18 x
敬子さん、今ふくみ先生の番組見て、興奮冷めやらぬ思いでいます。
先生の全てに感極まりました。言葉を連ねたくないです。
番組の事、知っていましたので勿論ビデオもかけておきましたが、リアルタイムで見たかったし、
見てよかったです。
藍染めの一部は見た風景だな〜と思っていたら、浜松の展覧会会場でのビデオでした。
でも今日のはより深いところに迫っていて心に沁みました。
櫻染めは懐かしさを感じました。ケイコサンのブログを思い出して。
アルスシムラの事も最後に紹介されていてよかったです。
しむら先生のこと、益々好きになり,益々尊敬の念を深くする今夜の番組でした。
メールでのお知らせも有難うございました> 

こうして、志村ふくみの世界が多くの人に浸透することはとっても嬉しい!

 雨の京都で山並みが消えてしまった東山をながめながら、、、。

NHKのプロフェッショナル <いのちの色で、糸を染める 染織家・志村ふくみ >_a0031363_12344731.jpg
 (1980年代の作品<桜の園 その一>)


~~~~~~~~~
#IMAGE|a0031363_22103175.jpg|201306/07/63/|mid|680|439#] (開校式)



by pretty-bacchus | 2013-05-29 23:58 | ♠Art&美術,詩歌,展覧会,お稽古 | Trackback | Comments(15)
Commented at 2013-05-30 15:03
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 郁子 at 2013-05-30 19:42 x
敬子さん、先夜のふくみ先生の番組について、よくぞここまでお書きになられたと、感銘を深くしています。
皆さんがお感じになったマイナス面、一面的であるとか、掘り下げが物足りないとか、それを言ったらきりがありません。先生の魂の高貴さや深淵は、筆舌を尽くしても語りおおせられません。ましてテレビに於いてをや、です。
ですから、私は物足りなさには眼をつぶりました。この番組によって、先生の存在とお名前を初めて知り、それでは個展で作品に触れてみよう、ご本を読んでみようなど、貴重な伝統工芸に眼を開くきっかけをもたらしてくれたとしたら、番組の役割の大半は果たしたと言えましょう。
また、番組を見落とした方が敬子さんのこのブログによって、再放送を見たいと思われたら更に嬉しいです。
★再放送:5月31日(金)午前0時40分より(番組的には30日の深夜になるので間違えないように)
番組では主に染色の過程を紹介していましたが、染色の後、織りを経て、作品となったものを、個展などを通して自身の眼と心で感受する事が大切だと私は思います。作品から受ける感動は掛替えがないし、作者も一番嬉しいのではないかしら?

Commented by pretty-bacchus at 2013-05-31 18:23
M2_pict さん、コメントをありがとうございました。
いつもあなたのブログでは鳥や蝶や自然の美しさを拝見しています。

番組は私も良く出来ていると思いましたが、ついつい欲が出たわけでして、、、。
多くの方がまた新たに、志村ふくみさんの染めの世界を魅せていただけたことを嬉しく思っています。

Commented by pretty-bacchus at 2013-05-31 18:27
郁子さん、番組を大きなお心でご覧下さったことに感謝です。
私のブログでお知りになり、三年前の浜松や、この春には東京からわざわざ京都の細見美術館やギャラリーフクミシムラにまで足を運んでくださったこともとても嬉しく思っています。
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