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志村ふくみ・洋子の染織の世界 <アルスシムラ>
平成25年4月15日(月) 晴れ 2013年4月15日 月

 夜遅くに京都に入った。
志村ふくみ先生が明日から開校する学びの館<アルスシムラ>のお教室に
参加させていただけることになったのだ。

 半世紀前三十代の初めに、東京に子供たちを置いて実家に帰り、そこで実の母上から美と染色を学び
染織の道に入り、今や紬織を「工芸」から「芸術」へと昇華させ独自の美の世界を創造しているふくみ先生。
重要無形文化財保持者(人間国宝)志村ふくみ。
その色と染めの<仕事と場>は洋子さんとお弟子さんに引き継がれ、それは京大&イギリスで哲学を学び
<思惟塾>を開いているお孫さんの時代に、新しい形の芸術学園として今花を開いた。
それは、母上小野豊さんの学園の夢を引き継いだ形にもなったのだろう。

<しむらのいろ TSUKI KOBO>のホームページ&ご案内状では、私塾アルスシムラの願いは
「魂の教育」だとうたっている。

志村ふくみ・洋子の染織の世界 <アルスシムラ>_a0031363_19575612.jpg

<授業では、染めたり織ったりの手仕事を通して物に触れ、物の命に近づく、驚きと憧れの体験を
大事にしていきます。心が躍動する色彩体験は、芸術家としての魂を育てる最高教育です。
学びの場は日本文化の中心地・京都にあります。そこでの染織体験を通して自然に目覚め、
ひとりでも多くの方が自らの創造性を育てていかれることを願っています>
とある。

 この歳になって学びの館に通うのかと思ったのだが、背中を押してくださったのは、
近著「伝書 しむらのいろ」他多くのふくみご著書をご担当なさっている求龍堂編集者のNさんと、
ふくみ先生の“織機は大丈夫よ、いらっしゃいよ”という何気ない一言だった。
最後は九十二歳の母だった。
“素敵なお話しね。私もこの歳になってもまだ京都の表千家の宗匠のお稽古に通っていますよ”
という母の楽しげな声に励まされて決心した。
子供の時のお稽古事から大きくなっての趣味の極みや海外への関心にいたるまで、
いつも母は私の好奇心を応援してくれてきている。

 “目の前のことを追いかけるうちに忘れかけている、自然へのまなざしを取り戻してもらい
ものづくりの喜びを共有したい”

とおっしゃっているふくみ先生の眼差しと、ありがたくも四十年来のお近づきをいただいている
ふくみ先生のあの霊的な感性と、人間としての可愛らしさを講義のあいまに生でしっかりと感じとりたいと
思ったのだ。
自然界の草木から命をいただいて糸を染め織りなしていく先生のその日々のご精進と精神の豊かさを、
少しずつでも学ぶことができたら嬉しい。

〝植物からそまる色は単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が色をとおして写し
出されて
いるのではないかと思うようになりました。それは植物自身が身を以って語っているものでした。
こちら側にそれをうけとめて生かす素地がなければ色は命を失うのです〞

(1993年の最初の著書『一色一生』より)

 去年の秋に洋子さんが東京にいらして今までのお作品のことなどをお話ししたときに、
四月からの新しいお教室やギャラリーの事をうかがっていた。
新しい世代への織と染めと、その思いの伝承の事などなど。
ぜひ学んでみたいと思ったが京都! それも毎週。
“機を置いておくのでくればいいのに、、、との一言で私はその気になってしまったのだ。
六月のボルドーでのヴィネックスポも行くのをやめたりして、、、。ホテルもKさんに早々とお願いした。

 京都はパリに次ぎご縁のある都。パリの駐在員を終えて帰った1970年代初めから二十世紀の終わりまで、
寛政年間から続いたS社の会長さんのご厚意で、美術の世界、茶道の世界、食の世界、色街の世界、、、、
と、いろいろ教えを受けて、なにかというとお声をかけていただき京都通いが続いた。
大徳寺での利休四百年忌の催し、千家のお祝い事も、会長代理として出席させていただいた。
志村先生の嵯峨のお宅に最初に連れて行って下さったのもS会長だった。
そのあとはいつも嵐山の吉兆さんで<和食と器の美>を堪能させていただいた。
九十年代初めからの十数年は久田宗匠のお宅の数人の特別お教室に参加させていただき、
お茶の<真髄>と<遊び>の妙味と愉しさを体験をさせていただいたのも素晴らしい思い出。

 その京都に、今度はまったく予想もしなかった形で通うことになったのだ。
今しかない、母が元気でいるうちに、私の健康がもっているうちになどなど、、、いろいろ考えて、
悩みに悩んでの最終決定で、明日から私はアルスシムラの予科の<塾生>になる。
人生とはおもしろいものだ。出会いと機会は突然にやってくることもある。
これこそ<生きる歓び>にちがいない。

おそらくお若い生徒さんが多いのだろうから、おじゃまにならないように、静かに<老年の手習い>を
させていただこう。
日々紡がれる命の色を次の世代に伝える使命を今実現なさろうといているふくみ先生の
<生の声>の授業を大切に拝聴していきたい。

 明日は開校式とレセプション。
講義はあさってから始まる。
予科の授業は週一回で明後日から始まりまず十六週。
心躍る初夏となるだろう。

 そしてNさんのご期待にそえるようなレポートをこのブログを通して書いておきたい。

志村ふくみ・洋子の染織の世界 <アルスシムラ>_a0031363_2065688.jpg
(2013.03.15 「細見美術館特別展 志村ふくみ・志村洋子 作品展 しむらの色 KYOTO」にて、)


志村ふくみ・洋子の染織の世界 <アルスシムラ>_a0031363_5535674.jpg (1988年お作品<桜の園その一>と


1989年の<秋雷>。
(紋の刺繍を入れることにより、作品としての紬は正式なお席や茶道の世界にも受け入れられた頃のお作品。)

ふくみ先生は1990年には重油無形文化財(人間国宝)に認定された。

まだ詳しくかけていないが、、
http://keico.exblog.jp/17463363/
2013年3月15日 金曜日 晴れ 京都にて
「細見美術館特別展 志村ふくみ・志村洋子 作品展 しむらの色 KYOTO」その一

http://keico.exblog.jp/17488692/
2013年3月19日 火曜日 曇
「細見美術館特別展 志村ふくみ・志村洋子 作品展 しむらの色 KYOTO」その二

http://keico.exblog.jp/7570331/
2008年10月11日 土曜日 晴れ 福島続き
志村ふくみの色彩論と感性

〜〜〜〜〜〜
more>>>アルスシムラとは下記HPより
http://www.shimuranoiro.com/ars/

〜〜〜〜〜〜〜〜〜
追記*
四月十六日の開校式・入学式は、下記をクリックしてください。

http://keico.exblog.jp/17654086/2013年4月16日 火曜日 晴れ
志村ふくみの<アルスシムラ>開校式&入学式とレセプション







アルスシムラとは下記HPより
http://www.shimuranoiro.com/ars/

 志村ふくみ・志村洋子が創造した染織の世界を、芸術体験を通して学ぶ場として、
2013年4月、京都・岡崎にアルスシムラは設立されます。
 アルスシムラの源流は、志村ふくみの母・小野豊にまでさかのぼります。
小野豊は、柳宗悦の民藝運動、黒田辰秋・青田五良の上賀茂民藝協団、富本憲吉らと親交を結び、
自ら理想的な教育を実践する場として「昭和学園」を設立いたしました。

 豊からの影響で染織の道に入ったふくみは、紬織を「工芸」から「芸術」へと昇華させ、
独自の美の世界を創造しました。娘・洋子は母と同じ道に進みながらも、
ゲーテやシュタイナーの思想と出会い、「都機工房」を設立後は、日本伝統の着物という枠を超えて、
「色」という普遍的な美を目指すようになりました。

 アルスシムラの願いは「魂の教育」です。本来、芸術家とは、単なる自分の内面世界の表現者と
いうだけでなく、自然の探求者としての側面をもっています。自然の不思議さに驚き、
真理を追究しようとする姿勢は芸術家の特質です。アルスとは、もともとラテン語で
「技術」「芸術」を表わします。
授業では、染めたり織ったりの手仕事を通して物に触れ、物の命に近づく、驚きと憧れの体験を
大事にしていきます。心が躍動する色彩体験は、芸術家としての魂を育てる最高教育です。
学びの場は日本文化の中心地・京都にあります。そこでの染織体験を通して自然に目覚め、
ひとりでも多くの方が自らの創造性を育てていかれることを願っています。



by pretty-bacchus | 2013-04-15 23:58 | ♠Art&美術,詩歌,展覧会,お稽古 | Trackback | Comments(8)
Commented by 郁子 at 2013-04-16 23:02 x
驚きました。志村先生の学園設立もどんなにかエネルギーを使われる事だろうにと、驚嘆いたしましたが、敬子さんがその学園生として、学びに毎週京都まで通われるとは!並大抵のご決心ではなかった事と、ただただ感動・敬服いたしております。
ご自分の求めるものが何なのか、どこにあるのか、敬子さんにははっきりとお分かりになっての決断なのですね。
道を求め、これという一筋の道を進んでいらっしゃる志の高さに神のご加護、またミューズの微笑みがありますように、と心からお祈りいたしております。
Commented by 婆美以 at 2013-04-17 01:57 x
人が生まれて最初に触れる物質、それは母の胸よりも先に「布」ではないでしょうか。そしてそれこそが最初に触れるアートなのでしょう。
敬子さまのこのお知らせは、布に囲まれる環境に生まれ育ち布から片時も離れられないほど魅せられて、ついに布と生きる道を選んだ私にとって言葉に表せない嬉しさです。
上野には勿論、ご自宅近くにも目黒にも服飾美術館があり原点とも言える布たちが保存されています。
京都には布の収集家もみえます。男性であっても布に魅せられた歴史上の人物は多いのです。

敬子さまの感性は必ず布に織り込まれます!!私の目にはもうその布の影が見えるようです!!どうぞ夕鶴のつうのように紡ぎ織って下さい。。。ふくみ先生こそおつう様なのです。。。
Commented at 2013-04-17 02:18
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by pretty-bacchus at 2013-04-18 23:58
郁子さん、ありがとうございます。
ふくみ先生とは四十年になりますが、この方こそ神様から使わされた方と思っているのです。私は<ご自分の求めるものが何なのか、どこにあるのか>をわからないままに、あるいはそれを求めての今回の入学なのかもしれません。
できる限りブログでご紹介いたしましょうね、、、、。

Commented by pretty-bacchus at 2013-04-19 00:04
婆美以さま、布のプロから嬉しいコメントをいただきありがとうございます。
<ふくみ先生こそおつう様>はい、ほんとうにそう思います。
おつうにさらなる魂が宿っていると思うのです。
私は布を愛でる立場から、今回はほんの少しだけ紡ぎ染め織ることをかじってみることができたら、今後なにかが生まれるかな、、、と。

Commented by pretty-bacchus at 2013-04-19 00:04
鍵コメントさま、ありがとうございました。
Commented by Aubrey at 2014-05-22 09:32 x
I’d prefer to uslysht a bit far more on this subject
Commented by kidying at 2020-02-02 15:38
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